蒸気機関に代表される、高性能化した機械を導入することで近代的な工場や会社を次々に誕生させたイギリス産業革命。産業や社会が変革を遂げる一方で、資本家と労働者、あるいは大生産者と小生産者との貧富の差は拡大し、社会は混乱していきました。そこに起こったのが、労働者がお金を出し合い、組織をつくって互いに助け合う社会を築こうという社会運動。1844年、イギリスのマンチェスター近郊のロッチデールで設立された世界初の協同組合「ロッチデール公正先駆者組合」はその一つです。組合が運営理念に掲げたのは、全員が投票権を持つこと、剰余金を分配すること等でした。その考えは、ドイツを経て日本にも伝わり、1900年にドイツ商工業者の信用組合を見習った産業組合法が制定され、これにより、信用金庫の原型となる信用組合の設立が可能になりました。
協同組合 : 共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が集まり、組合員となって事業体を設立して共同で所有し、民主的な管理運営を行っていく非営利の相互扶助組織。連帯経済の主要な担い手である。